「ものづくりのまち」として名高い燕三条エリア。卓越した技術と産業文化が息づく一方、地域の持続的な発展には、外部との新たなつながりや人材の流入が不可欠な課題となっています。こうした背景のもと、JR東日本新潟支社・三条市・一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクト・ミテモ株式会社が連携し、「燕三条ローカルイノベーション推進コンソーシアム」を組成。国土交通省の二地域居住先導的プロジェクト実装事業の採択を受け、地域と外部人材が交わる共創の場づくりに取り組んでいます。2025年10月から2026年2月には、新たなビジネスと関係人口の創出を目指したプログラム「TWIN GATE」がスタート。DERTAは共創パートナーとして参画し、プログラムの企画設計・運営、参加者への伴走支援を担当しました。その様子をご紹介します。プロジェクトの背景新潟県・燕三条エリアは、ものづくり産業の集積地として知られ、上越新幹線による首都圏との良好なアクセスも大きな強みです。一方で、地域の持続的な発展に向けては、継続的に地域と関わる「関係人口」や「二地域居住者」の創出が重要課題となっています。こうした課題に応えるべく企画されたのが、越境共創プログラム「TWIN GATE」です。首都圏の企業・人材と燕三条のプレイヤーが協働し、新規ビジネスの創出を通じて将来的な二地域居住や移住へとつなげることを目指しました。DERTAは、新潟県内でのワークショップやデザイン思考の実践型研修などが評価され、共創パートナーとして参画。地域の文脈を踏まえながら、コンソーシアム各社と連携してプログラムの設計・運営を支援しました。取り組みについてプログラム開始に先立ち、2025年8月4日(月)には高輪ゲートウェイ駅直結のLiSHにて、参加者募集を兼ねたキックオフイベントが開催され、DERTAからは代表取締役CEOの坂井が登壇。プロジェクトの説明と交流の機会が設けられ、関心を持つ参加者との接点づくりが図られました。続く9月18日(木)・19日(金)には、燕三条地域での現地ツアーを実施。地域のプレイヤーやフィールドを実際に体感する機会が設けられた上で、約2週間の募集期間を経て参加者が決定しました。メインプログラムは2025年10月から2026年2月までの全6回。首都圏のビジネスパーソンが約半年間にわたり首都圏と燕三条を行き来しながら、地域の事業者や自治体職員といった「地域内のプレイヤー」と共創し、事業化・プロトタイプ化に取り組みました。プログラム概要燕三条二地域居住越境共創プログラム「TWIN GATE」開催日:2025年10月14日(火)、10月24日(金)、11月10日(金)、11月28日(金)、12月19日(金)、2026年2月13日(金)場所:複合交流拠点「三-Me.(ミー)」参加者数:13名内容:【DAY1】自分のWHYと地域・事業をつなげる【DAY2】事業アイデアと仮説設定のレクチャー・ワーク【DAY3】事業計画作成【DAY4】価値検証・改善【DAY5】プロトタイピング【DAY6】最終報告以下では、メインプログラムの様子をご紹介します。プログラムの様子本プログラムには、クリエイティブ系企業や個人事業主、育休中のママまで、多様な10組が参加しました。会場は、空き家を活用した複合交流拠点「三-Me.(ミー)」。単なる交流や学びの場ではなく、燕三条地域を舞台に実際の事業創出を目指すプログラムです。DERTA代表の坂井は「地域×DX」を担当するテーマオーナーに就任。コンソーシアム各社のメンバーも観光・交通などのテーマを持ち、それぞれの専門領域から地域の実情や現場感覚を参加者に伝える役割を担いました。【DAY1】自分のWHYと地域・事業をつなげるDAY1は、ミテモ株式会社が中心となり、「なぜこのプログラムに飛び込んだのか」「燕三条でどんな光景を実現したいのか」を深掘りするワークを実施。燕三条に移住して事業を立ち上げたゲストの話を聞く時間も設けられ、参加者同士の関係づくりと場の土台づくりが丁寧に進められました。【DAY2】事業アイデアと仮説設定のレクチャー・ワークDAY2は、DERTA取締役CDO / COO 須貝がワークショップを担当。デザイン思考に基づくアイデアの発散と収束の手法をレクチャーしながら、取り組むべき事業テーマを絞り込んでいきました。また、事業創出における仮説と検証の考え方はリーンキャンバスを採用し、実践へと落とし込みました。本プログラムではオンラインホワイトボードツール「Miro」を活用。プログラムの過程をデジタルデータとして可視化し、参加者がいつでも自身・メンバーのデータにアクセスできる共有環境を整えました。【DAY3】事業計画作成DAY1・2の学びをもとにユーザーインタビューを実施。三条地域の大学生・市役所担当者・事業担当者などへのヒアリングを通じて、表面的なニーズの先にあるインサイトの把握・検証を行いました。得られた知見をもとに事業構想スケジュールを策定し、ショートピッチや参加者同士の壁打ちを重ねながら、事業アイデアを具体的な形へと落とし込んでいきました。【DAY4】価値検証・改善DERTA須貝が中心となり、価値検証・改善の手法をレクチャー。4コマ漫画でユーザー体験を具体化するストーリーボードやカスタマージャーニーマップ、バリュープロポジションキャンバスを活用し、「どんな課題を何で解決するか」を明確にしながら企画を練り上げました。各参加者の進捗や悩みに合わせた個別の壁打ちを通して、アイデアの解像度を高める対話が重ねられ、事業の輪郭が浮かび上がっていきました。【DAY5】プロトタイピングこれまでのインタビューやワークで積み上げてきた仮説と検証をもとに、事業の実現可能性を具体的な数字や構造に落とし込んでいくフェーズへ。メンバーやテーマオーナーとのコミュニケーションを通して事業計画を磨き、2カ月後の最終報告会に向けた準備が進められました。本番までの期間は、オンラインでの定期的な壁打ちや、参加者自ら燕三条に足を運んでのユーザーインタビューなど、それぞれのペースと方法で事業内容を固めていきました。最終報告会の様子2026年2月13日(金)、三条市立大学にて最終報告会を開催。三条市長をはじめ、燕三条エリアの経営者や東日本旅客鉄道株式会社新潟支社長など多数のゲストが見守る中、各チームが今年度の成果と次年度の活動計画を発表。会の後半にはパネル展示と意見交換を兼ねた交流会も行われ、半年間の取り組みが熱のある締めくくりとなりました。発表されたテーマは以下の通りです。「移動」を「燕三条のファンづくり」に変える、『プラリー』が創る新モデル「燕三条モデル」で切り開く グローバル販売現場の情報を経営に活かすための段階的構想町工場の技術を「資産」に変える共創プラットフォーム構想工場の事業伴走支援およびショールーム宿構想空き家を活用して地元の古今を継ぐデザイン最先端産学連携による地域産業発展プログラム八十里越ロングトレイル構想「地元」で繋がる!燕三条商人(あきんど)ギルド燕三条駅から始まる「産業観光の成功モデル」構築に向けた提案遊休スペースの活用や自然資源を活かした構想など、燕三条に新たな目線で飛び込んだ参加者たちの視点が、地域の新たな可能性を映し出しました。次年度以降も関係企業による支援を継続し、参加者が地域のローカルプレイヤーとして根付いていけるよう、取り組みを進めていきます。参加者の声現地調整など、想像以上に皆様にサポートをいただき大変ありがたく思っています。町工場の現場や役所のご担当者など、一人では難しいような接点を作っていただき、諸々の支援によって安心して事業検討に注力できたと感じています。自身のみでは接続しきれない地域事業者への紹介や連携について多大なご協力をいただきました。課題設定から具体的な協業先まで、エリアに特化した事業構築の進め方について伴走いただけたことがありがたかったです。定期的に現地で参加者との交流があることで回数を追うごとに関係も深まり、新しい軸で人間関係を築くことができました。燕三条というエリアのもつポテンシャルや商品力やコンテンツ力は素晴らしかったし、このプログラムがなければそれを知ることもなかったので、感謝しています。Credit企画、ディレクション:坂井俊、須貝美智子運営:坂井俊、須貝美智子、大兼梨奈(インターン)