新潟市中央区でデザイン、コーチング(※1)等の事業を展開する「finch design (フィンチデザイン)」が2024年4月にリリースした「といかけコミュニケーションゲーム『しつもんクエスト』」。変化が激しく予測不可能な現代社会に求められる「主体性」「課題発見力」「協働する力」等を育む「対話力」を、ゲーム形式で楽しみながら磨くプロダクトです。今回DERTAは「しつもんクエスト」の開発・発売に向けたPoC伴走から、プレスリリース配信やイベント企画・運営といったPR支援までを担当いたしました。しつもんクエスト公式ページ:https://question-quest.studio.site/(※1)コーチングとは...対話を通じてクライアントの想いや考えを引き出し、目標達成に向けた具体的行動と成長を支援することプロジェクトの背景finch design代表の石丸様は、コーチングがビジネスシーン等でしか活用されていない現状や、コーチングの技術習得に高いコストや心理的・技術的なハードルがある現状を鑑み、会話の中に「コーチング」のエッセンスを取り入れ、対話の楽しさや新たな「キヅキ」に触れるきっかけを提供したいと考え、ゲーム性を持たせたコミュニケーションプロダクトの開発を構想されていました。素案段階からのプロダクト化を目指す中、「誰にどう届けるか」「どのように具現化したらよいか」という要件定義や体験設計の面で課題が浮上。同時に、プロトタイプ開発によるコスト面も懸念事項として上がっていました。ご相談をいただいたDERTAは、サービスデザインの知見とデジタルツールの活用ノウハウを活かし、PoC(※2)の伴走をさせていただきました。要件定義や体験設計、ユーザーテスト等は全てホワイトボードツール「Miro」で実施。開発コストの削減やブラッシュアップの効率化に効果をもたらしました。また、コミュニティの活動やイベントの実績にご注目いただき、プロモーションのサポートもご依頼いただきました。長期プロジェクトとして、企画段階からリリース後のアプローチまでをご支援させていただきましたので、以下では取り組みの内容をご紹介します。(※2)PoCとは...Proof of Conceptの略。新規プロダクトの社会価値・事業価値を検証すること。事前の効果検証に役立つ手法取り組みについてPoC伴走DERTAでは、プロジェクト管理やワークショップなどで共通の認識を持つために、デジタルボードツール「Miro」を日常的に活用しています。今回のPoC伴走でも使用し、まずはプロダクトの存在理由についての議論から着手いたしました。「メリット・デメリットや5W1Hなどを整理し、担当の須貝さんには細やかな問いをいただいたことが印象的でした。自分自身、言語化の粒度が荒いと感じていた部分が問答の中で整理されていき、自分の目指しているものはこれだ!と腹落ちしていく感覚がありました。」(finch design代表・石丸様)こうしたプロセスを経てゲームの機能要件を吟味し、ワイヤーフレームを設計。構想当初はコーチングのスキル獲得や品質向上を主な目的にしていましたが、より気軽に「質問を楽しむ」「コミュニケーションの小さな成功体験を積む」ゲームを目指し、名称も「しつもんクエスト」に決定しました。「フィードバックを受けていくうちに、このゲームの提供価値や大切にしたいものがクリアになりました。腹落ちするとアウトプットの解像度も上がり、イラストレーターさんとのすり合わせでRPG要素のあるデザインアイデアも生まれました。一人だと手探りで中々自信が持てなかった部分が、どんどんと進めやすくなっていきました。」(finch design代表・石丸様)ユーザーテストもMiro上で実施し、フィードバック後にブラッシュアップを重ねました。コロナ禍の影響で一度はデジタルリリースも行いましたが、テストでのユーザーの反応を通じて「顔を合わせた対話を大切にしたい」という石丸様の想いも確かなものになっていきました。PoCの伴走においては、体験価値を見出す段階までをローコストかつ迅速に進めることを重視。議論を重ねながら大まかなイメージを作り、その後、細部にわたる改善点を丁寧に洗い出し、質を高めていきました。DERTAはプロダクト開発において「ユーザーの体験価値」が最も重要であると考え、このプロセスを大切にしています。PR支援PR支援では、以下の2つに取り組みました。プレスリリースの執筆(メディアアプローチ)リリースイベント企画・運営(認知拡大・ターゲットアプローチ)プレスリリースは、テキストでのやりとりを中心に、時に打ち合わせも行いながら、原稿の推敲を重ねました。2024年4月27日(土)、28日(日)に東京ビッグサイトで行われた「ゲームマーケット2024春」出展の予定に合わせて事前に発信。結果、プレスリリース経由でメディア掲載もいただきました。しつもんクエスト プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000141416.html5月23日(木)には「しつもんクエスト」リリースイベントを開催。開発の段階から、「教育現場で活用してほしい」という想いをうかがっていたため、DERTA Community所属の学校関係者や教育系NPO法人の方を中心にお声がけし、実施。本番前には実際の会場で石丸様と数回にわたるデモを行い、準備を整えました。当日の内容開発者と伴走者による、初めてのカードゲーム製作秘話こだわりポイントなどをお話しするトークセッション実際に「しつもんクエスト」を体験イベントレポート(finch design様):https://question-quest.studio.site/info/jc5Dva1R「このプロダクト自体、ゲームかツールかと悩んだ末にゲームに振り切った経緯があったので、会場が盛り上がっている様子を見て純粋に嬉しかったです。どのペアも個性が出ていて、私自身が思いつかなかった使い方も発見し、大変興味深かったです。問いの力や可能性を再認識させてもらいました。」(finch design代表・石丸様)当日は石丸様と参加者の交流が生まれ、リアルな声が聞こえる有意義なイベントとなりました。また、DERTA Community内の企業からは導入を検討したいという声も上がっています。参加者の声「しつもんクエスト」のワークを学校現場でもできたら面白そうだと感じました。自己開示と深堀りを同時にできるので、初対面の方や子どもと接する時、授業など幅広いシチュエーションで使えるゲームだと思いました。初めての方と仲良くなれるきっかけになって、楽しく進めることができました。今回の事例では、デザイン思考を用いて「体験を設計し、実現する」プロセスと、コミュニティを活かしたイベント設計を担当しました。デザイン×コミュニティというDERTAならではの支援を提供できたことを嬉しく思います。プロダクトがより多くの方の元へ届き、あたたかくやさしい「しつもんクエスト」の世界が伝播していくことを、私たちも心から願っております。お客様の声最初は一人で着手をしたものの、素案から5年を経ても完成させることができずにいたので、DERTAさんのおかげで形にし、世に出すことができました。プロダクトが完成して終わりではなく、コミュニティやイベントを運営しているからこそ、発信までをシームレスに支援いただけるのはDERTAさんならではの強みですし、色んな業態・お悩みに対し、伴走して解を出していただける心強さを実感しました。また、デジタルベースで伴走支援をいただいたことで、今後デジタル化のニーズが出た際にもこのプロセスが非常に役立つと感じており、感謝しています。DERTA Communityやイベントから波及して、教育関係や企業の方々とのコネクションも広がりました。今後は「しつもんクエスト」が目指す「中高生のみなさんが相互に行うコーチング体験」や「企業・組織内での研修ゲームとしての活用」の場を作るべく、実践と伝搬を行っていきたいと思います。そして、幅広い世代の方が「しつもん」を楽しんだり、「しつもん」を通じて相互に支援し合えるような世界を目指して活動を続けていきたいと思います。(finch design代表 石丸様)CreditPoC伴走支援:須貝美智子、齋藤華PR支援:齋藤華、権平由紀